【 灰色の雲 あきらめ 】ギターソロ
超絶技巧練習曲などで知られるリストは、生前は作曲家としてはもちろん、 完璧なピアニストとしても大活躍しました。 技巧派であったことは間違いなく、 数あるピアノ作品の多くはピア二スティックで音が多い作品が多く、 なかなかギターの世界からは遠い感じがしています。 しかし晩年になると、大きな作品は影をひそめ、 調性が曖昧になってきて独自の世界に入って行きます。
「灰色の雲」も晩年の作品で、 リストの作品でギターに移し替えられる可能性あり、と目をつけました。 出だしの不思議な響きの中で耳を傾けていると、意外なところから、 しかし全く必然的に神秘的なメロディが現れます。これはもう才能というしかありません。
「あきらめ」はまだ調性がわかりやすいですが、半音の動きがメインにあって、 まるでワグナーをを聴いているかのようです。 コラールを思い浮かべて弾いていくと美しく響きます。 (2018-6-18・大谷 環・記)