北川記念ロシア民族楽器オーケストラ特別公演の開催について

　一昨年９月、めぐろパーシモンホールにおいて北川記念ロシア民族楽器オーケストラ創立５周年記念演奏会を、
内外の一流音楽家とともに成功させてから早３度目の春を迎えます。
音楽監督、北川翔を中心に音楽に熱い情熱をたぎらせて掌中にした成果を、
あまねくロシア音楽を愛好する人々にお返しするために、
大小のステージにお呼びがかかれば手弁当で駆け付けたり、
ボランティアもいとわず各地に赴いたりする中で、
新しいレパートリーへの飽くなき挑戦も続けて参りました。

　団員の技術も確実に上がってきて、ロシア民族楽器オーケストラの世界で難しいと
言われる曲にも手が届くようになって参りました。５周年以後に積み上げたオーケストラの成長ぶりを
多くの皆様にお聴き頂き、ご批正を頂くことも、音楽を志す者にとって欠かせません。
そうした思いが一つになって、特別公演開催の運びとなりました。

　開催地に白羽の矢を立てたのが、所沢ミューズ•マーキーホールです。
ここは、創立１年後の2010年10月に本オケがコケラ落しをした記念すべきホールです。
北川翔が育ったこの界隈は、北川にとって埴生の郷であり、
所沢は父で邦人初のバラライカ奏者、北川つとむ終焉の地でもあります。
回帰と追懐の意味も込めて、時節柄ロシアの冬と日本の春を
歌い上げるというコンセプトが浮かび上がりました。

　ロシア音楽には季節を謳った曲が数多くあります。
第一部でシベリアの大地の冬を、第二部では、日本の春を謳います。
コンテンポラリーで若い世代にも親しめるようなナンバーも組んでみました。
ファミリー感覚で楽しんでお聴き頂けるよう、３歳以上の入場も可としました。

　もう一つ、長尾がギター、バス•バラライカ以外に、
１曲だけ北川翔のドムラソロで「ドムラコンチェルト一週間」を指揮します。
高度なテクニックを要するドムラ（ロシアの民族弦楽器）の難曲で、
よく知られた「一週間」と、「夜道を１人歩けば」という２つのロシア民謡がテーマになっています。
北川がバラライカ以外にドムラを披露する機会も滅多にありません。
長尾の指揮も久々で、是非応援して頂きたいと思います。

　来年の節分の恵方は北北西だそうです。
都の乾、所沢マーキー（出入り口の上の庇）の下でミューズの歓待を受け、
豊かな昼下がりのひとときをお過ごし頂ければ幸いです。

　　　　北川記念ロシア民族楽器オーケストラ　　団長　長尾和彦

 (2016-12-23、大先輩・長尾さんよりのメッセージ。許可を得て転載しました。G&M 鈴木宏和)